コロナ後遺症で手根管症候群になった可能性ありますか?
2022年の12月に初めてオミクロンのコロナに感染し療養3日目に右手のひら(小指と薬指側)がいきなり痺れだし、指が曲げにくくなりました。療養後に様子みてましたが一か月しても痺れが治らず曲げることができなくなり、整形外科に行きました。初診で医師にコロナ療養中から症状が出てコロナになる前は、そんな症状なかったからコロナ後遺症かもしれないと伝えると「後遺症じゃないとは、はっきりとは言えないけどあまり症例としては聞いたことがない」と言われタリージェを処方されましたが強い痺れは取れましたが軽い痺れと指が曲げにくい何より握力が完全に落ちてしまい蓋を開ける時に毎回苦労して激痛が走ります。長時間、箸や鉛筆が持てなくなりました。首のMRIと神経伝導検査を受けましたがMRIは異常はないが、あきらかに握力がないと言われ、手根管症候群と診断が出ました。タリージェからリリカに薬が変わり今は痺れは落ち着いてるため、リリカは飲んでませんが冬になると手が痛かったり相変わらず蓋を開ける時は激痛が走り箸や鉛筆を長時間は持てないです。家族からは、たまたまコロナ療養中に手根管症候群になったのじゃないか?と言われてますがコロナになる前は、全く症状がなく握力も普通にありました。コロナ後遺症で手根管症候群になった可能性ありますか?
握力は2度と元には戻らないですか?
(1)コロナと神経障害の関係についてお答えします。
新型コロナウイルス(特にオミクロン株以降)は、末梢神経障害(ニューロパチー)や自己免疫反応による神経炎を引き起こすことがあると報告されています。
実際に、コロナ後に顔面神経麻痺、ギラン・バレー症候群、腕神経叢炎(パルソン病)などの神経系合併症が見られることがあり、手の痺れや運動障害を訴える患者もいます。
しかしながら、手根管症候群は手首の靭帯の下にある正中神経が圧迫されることで起こる疾患で、解剖学的な原因が多く、慢性的な使いすぎや加齢、女性ホルモンの変動、糖尿病などの影響が関与します。
他方、ウイルス感染に伴う炎症や浮腫により、一時的に手根管内の圧が上がり、手根管症候群を誘発したり悪化させる可能性は考えられます。
従って、直接的にコロナが手根管症候群を「引き起こした」とは言えませんが、「引き金になった」可能性はあり得ます。
たまたまというより、潜在的にあった軽度の正中神経の圧迫を、コロナ感染後の免疫反応や炎症が顕在化させたというケースも考えられます。
(2)握力はもう元に戻らないのかについてお答えします。
①神経の圧迫が長期間続いた場合は、神経や筋肉が萎縮し、回復が難しくなることがあります。
しかし、軽度〜中等度であれば、適切な治療とリハビリにより、ある程度の機能回復は十分に期待できます。
今後すべきことについてお答えします。
1)リハビリの継続
握力・巧緻運動(細かい動作)の維持には、専門的なハンドセラピーが有効です。
2)再度の神経伝導検査(進行の有無を確認): 数年経っているなら、現在の神経伝導速度がどうなっているか再確認が必要です。
3)手根管開放術
保存療法(薬・リハビリ)で症状が改善しない場合や、夜間痛・筋萎縮が進行している場合は、神経を圧迫している靭帯を切る手術で改善する可能性があります。
冬に痛みが悪化する原因については、寒さで末梢血流が悪くなることで、神経が過敏になることがあり、また、過去にダメージを受けた神経は、寒さやストレスで痛みに対して敏感に反応するようになることで説明可能です。
お話を伺う限りでは、御家族様から指摘された通り、コロナ感染中にたまたま手根管症候群を発症したのではないかと思います。整形外科で相談してはいかがでしょうか。手術等によって症状が改善する可能性はあると思います。
少なくともコロナ後遺症と手根管症候群は別物と思います。
手根管症候群が、神経伝導検査などで明らかな診断なのであれば、手術をしてリハビリをすることで改善は期待できないかもしれません。
コロナ後の後遺症よりはやはり末梢神経障害と考えるべきだと思います。これには手根管症候群や肘部管症候群も含まれます。狭窄部位がはっきりしている場合には、手術が効果的ですが、痛みに関しては内服だけではなく、神経ブロックなどが有効に働くこともありますので、一度ペインクリニックなどでご相談いただくのも良いと思います。